ゴルフ業界は二極化の時代へ。生き残るゴルフ場の条件と2026年最新の時流予測
はじめに
ゴルフ業界は今、大きな転換期を迎えています。新型コロナウイルス流行期に見られた「ゴルフブーム」が落ち着きを見せる中、原材料費の高騰や人件費の上昇、そしてユーザー層の構造変化といった波が押し寄せています。
「これから先、自社の業績を伸ばすために何をすべきか」「2026年に向けてどのような投資を行うべきか」と悩まれている経営者様も多いのではないでしょうか。本コラムでは、最新の調査データに基づいた業界の時流と、2026年に向けて舵を切るべき方向性について、プロの視点から徹底解説いたします。
- ゴルフ業界の現在地:市場規模と参加率から見える「微減」の正体
まず、業界の現状を正しく把握しましょう。2024年のゴルフ業界全体の市場規模(ゴルフ場、ゴルフ練習場、用品の合計)は14,230億円となり、昨年対比で微減という結果になりました 。
ゴルフ場と練習場の内訳
詳細を見ると、ゴルフ場の市場規模は9,240億円(微減)、ゴルフ練習場は1,230億円(維持)となっています 。数字だけを見ると「安定している」ように思えるかもしれませんが、その内実には大きな変化が起きています。
ゴルフ場: 都市部での値上げが、可処分所得の低いミドル世代の「ゴルフ離れ」を引き起こしています 。
ゴルフ練習場: 老朽化によるアウトドア練習場の減少に対し、インドアゴルフ練習場が増加することで市場規模が維持されている状態です 。
ユーザー属性の変化
参加率のデータを見ると、より顕著な変化がわかります。
増加傾向: 男女のヤング世代(20代)、および女性のシニア世代(70代)の参加率が増加しています 。
減少傾向: これまで業界を支えてきた男女のミドル世代(30代〜50代)の参加率が減少しています 。
特に都市部(関東、関西、九州)での参加率低下が目立つ一方で、地方では増加しているエリアもあり、地域間格差も広がりつつあります 。
- 2026年の業界予測:待ち受ける「供給過多」と「勝敗の分かれ道」
2026年にかけて、この変化はさらに加速すると予測されます。経営者の皆様が注視すべきポイントは以下の3点です。
インドアゴルフ練習場の淘汰と地方進出
これまで急成長してきたインドアゴルフ練習場ですが、都市部では供給が需要を上回り、すでに淘汰が始まっています 。一方で、地方にはまだ出店余地があるため、2026年も地方への出店は継続していくでしょう 。
アウトドア練習場の継続的な減少
アウトドア施設は、施設の老朽化に伴う追加投資の負担と、インドア施設との競合により、全国的に減少傾向が続くと見られます 。
ゴルフ場の明暗を分ける「値上げ」の成否
最も重要な予測は、ゴルフ場の「勝敗がはっきり分かれる」ということです 。
勝ち組: 値上げをしても、それに見合う価値(コースメンテナンスやサービス)を提供し続け、集客を維持できる施設 。
負け組: コストアップを価格に転嫁できず、あるいは値上げによって顧客(特にミドル世代)を完全に失ってしまう施設 。
- 2026年に実施すべき「3つの具体的取組み」
では、この予測を踏まえて経営者は何をすべきでしょうか。私は以下の3つの戦略を提唱します。
① ターゲットに合わせた差別化戦略
一律のサービス提供ではなく、ターゲットを明確に絞り込むことが不可欠です。
ミドル世代向け: 「高精度な弾道測定器」や「質の高い接客」による高付加価値化を目指します 。
ヤング世代向け: 初心者でも通いやすい「ハイコストパフォーマンス」なプランニングが必要です 。
② 商圏規模に応じた出店・運営モデルの最適化
インドア練習場を検討・運営されている場合、商圏人口に基づいたモデル選択が成功の鍵です。
人口8万人以上の都市部: 競合を包み込む「大型モデル(8〜12打席)」で地域一番店を目指します 。
人口8万人以下の地方: ターゲットを絞った「コンパクトモデル(4〜6打席)」で、投資を抑えた高収益運営を行います 。
③ WEBマーケティングの強化と営業のDX化
もはや「良い施設を作れば客が来る」時代ではありません。船井総研の支援先では、集客の約50%がWEB経由となっています 。
認知・集客: PPC広告(検索連動型広告)やSNS運用の強化は必須です 。
成約率向上: ホームページへのチャットボット導入や、公式LINEによる顧客属性別の自動配信(ステップ配信)を活用し、見込み客を確実に「来場」へ繋げます 。
- まとめ:変化をチャンスに変える経営を
2026年のゴルフ業界は、決して楽観視できる状況ではありません。しかし、ミドル世代の離反という課題の裏には、成長するヤング世代やシニア女性というチャンスが隠れています。また、デジタル化による効率化の余地もまだ多分に残されています。
重要なのは、過去の成功体験に固執せず、データに基づいた「時流」を読み解くことです。自社の強みを再定義し、適切な投資とデジタル武装を行うことで、この二極化時代を勝ち抜くことができると確信しています。
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