「事業拡大✖店舗展開の戦略について」株式会社MIGRIDS 代表取締役 鈴木太郎様
目次
「ELEMENTの誕生」
鈴木氏は、2016年にフリーランスとしてスタートし、物販、メディア運営、民泊などを手掛けていましたが、2018年に株式会社MIGRIDSを法人化。
■株式会社MIGRIDS
https://migrids.jp/
■パーソナルジム・マシンピラティスジムELEMENT運営
https://element-gym.com/
「一人ひとりの健やかな時間を拡張し、人生を通じて感じる、幸せの総量を増やす」
をビジョンとして、フィットネスメディアを通じて、短時間でのトレーニングの価値を感じ、限られた時間で効果を最大化できるフィットネス事業を求め、短期間型フィットネス事業への着手を決意され、2019年に「低価格で日常的に通える」パーソナルジムELEMENTを立ち上げた。
「ELEMENT立ち上げ時の苦労」
店舗数と問い合わせの増加に伴い、必要な人員が増えたたが、正社員が少なく業務委託が多かったため、人材育成や研修が困難になった。この課題を解決するために、「正社員比率の増加」とミッション・ビジョン・バリューを浸透させるための「理念浸透ミーティング」を実施し、人材育成と研修の見直した。理念浸透ミーティングは、FCも含めて全社で年2回実施。会議室を借り一同介して、店舗横断でグループディスカッションを行うレベルまで徹底した。理念の浸透には約2年という長い時間は費やしたものの、正社員比率の増加と、各店舗に理念を浸透させる正社員を配置を実現できるまでに至った。
「事業立ち上げ時の戦略」
お客様のメリットを追求するということを軸に、事業立ち上げ時は戦略を立案。例えば、「好きなときにいつでも行ける」、「30分のすき間時間に行ける」という利便性を提供しました。他社がやりづらいことをやり切り、差別化を図った。
また、短時間かつ通い放題というコンセプトについて、「1回セッションの質が下がる」といった、目の前のセッションのみに重要視することが多いが、来客データの分析や来店数が少ない顧客へのフォローという、セッション以外の業務にも工数をしっかり割くことによって、顧客満足度を向上させていった。
立ち上げ時の要となる集客においても、他業種の良いところを吸収し、LINEを活用して見込み客を獲得し、公式LINEへの誘導と配信機能をフル活用。また、ちらしや既存会員からの紹介を増加させる活動も積極的に行った。
「ピラティス業態の付加」
2022年よりピラティスを導入。当時は現在ほどの人気はなかったものの、「運動を習慣化してほしい」という、フィットネスにおける本質に立ち返り、負荷をかけるだけが運動ではないと考えた。
そのアイデアを実現するために、鈴木氏自ら、様々なトレーニング・エクササイズを体験することによって、負荷が少なく、インナーマッスルの強化にも有効なピラティスへとたどり着いた。
当初はマシンピラティス専門店として出店し、お客様の反応が良く、ブーム到来の時流に乗り、ピラティス専門店から既存事業へのピラティス付加を実現することになった。
そのメリットとしては、売上アップはもちろんのこと、「既存業態とは異なる客層の獲得」があげられる。
例えば、パーソナルトレーニングの客層としては、運動に対する本気度、成果に対する想いが強い方が多い傾向であるが、運動に自信がない方は少し敬遠される可能性もある。しかし、ピラティスは運動のライトユーザー、つまり、運動が得意でない方や初心者の方が多いが、、ピラティス自体への興味を持っている方は多く、新規顧客獲得が期待できる。
タッチポイントが、パーソナルでもピラティスでも、時間が経ち、別のプランも契約するなどLTVを向上する効果も期待できる。
「ピラティスの立ち上げ時のポイント」
ピラティスは、運動のライトユーザーがターゲットとなるため、カウンセリングの質が高くなければ入会には至らない。ピラティス立ち上げに際し、ピラティスの資格を持つ社員にカリキュラムの研修内容を作成してもらい、既存トレーナーへの研修を徹底し、ピラティスのターゲット層である、運動ライト層の獲得を実現した。
こうした戦略により、ピラティス導入前より、店舗の問い合わせは180%アップ、店舗売上は150%アップ達成を実現。2022年から立ち上げたピラティス事業は、2024年に入っても成長を続けており、2024年8月時点で全国48店舗を展開するまでに至っている。
「ピラティスを立ち上げる前に確認したいポイント」
ピラティス付加は有効であるものの、ピラティスに対する地域のニーズを確認する必要があります。そのため、「競合がある程度存在し、生き残れているかどうか」を確認するが必要である。競合がいない場合、ブルーオーシャンに見えるかもしれませんが、需要が存在しない可能性もあるため注意が必要となる。
「店舗展開に伴う組織マネジメント」
社員への数字の意識づけが重要であるため、正社員へ各店舗・直営店全店のPLを共有し、マネージャーに数値計画と実績の入力を担当させ、役員との1on1でのフィードバックも行う。
「今後の展望」
鈴木氏は、運動の習慣化から、さらに高みを目指し、運動の習慣化によりQOLを高め、人生の中で「できることを増やし、自信を高め、幸せを増やす」ことを、今後のフィットネス業界で目指していく。顧客だけでなく、フィットネス業界に従事する職員に対する想いも強く、「お客様が前向きになる業界だからこそ、トレーナーも前向きになれる」環境をつくり、ELEMENTでも離職率は非常に低く、直近3年の離職率は2名である。
事業展開については、物販にて、プロテインのリリースをはじめ、寝具・枕・パジャマなどのプロダクト展開を目指し、運動・休息・栄養の「健康の3要素」を充実させていく。